私笹谷遼平にとって、馬ありての旅は更生の旅でした。大変個人的な旅だったようにも思います。
馬の「旅」といっても、あちこち行ったわけではありません。しかし心は常に何かを追って旅をしていた様にも思います。それは現代の「所在なさ」から来るものかもしれません。
東日本大震災があり、原発事故があり、私はそれまでエロやサブカルチャーを追っていたところから、一転して、全てに対して正面から向き合わなければならないと考えるようになりました。自分が本質から距離を置き冷笑していたようにも思います。震災により、語りきれない衝撃があり、また国に対する落胆や呆れが間断なく襲いました。今も襲われています。。。。
ここでいう本質とは「命」でした。私は映画と向き合っていない。そして「命」と向き合っていない。そう突きつけられたのでした。
そして始まったのが、馬を巡る旅でした。2013年の1月のことです。